「………ユーリさん?」


(?)


違和感を覚えたのは、いつからだったろうか。
違和感というにはあまりにも小さすぎて、当人でも分からない程度だけれど。それでも胸の中に蟠りが残るような、そんな煩わしい感覚。どこかもどかしくて、気持ちが悪い。その原因が、何なのか、検討すらつかないけれど少なくともそんなちょっとした変化に気づいたのは先日だということは覚えていた。しかし原因が分からない。この違和感を覚えるのは、どういうときだ?


「ユーリさん、大丈夫ですか?」
「………?いや、気のせいか」
「?何がです?」
「………いや………」
「具合でも悪いんですか」
「………ん?ああ、そうなの、か?」
「救護班でも呼んできましょうか?」
「………いや、そこまでしなくてもいい」
「そう、ですか?ユーリさんでも風邪、ひいたりするんですね」
「………お前、俺を何だと思って」
「いえ、珍しいなって思っただけです、他意は無いですよ」
「本当かよ………」



ころころと仔犬のように笑うこいつを見てまた小さな違和感を覚える。こいつは、こんな風に笑うやつだったろうか。あまり知り合ってから時間も経っていないというのに何を思っているんだ自分は。アスベルはいまだに楽しそうに笑っていてそれがどこかうれしい。ん。?。嬉しいって、なんだ。自分のことなのにいまいち感情が掴めない。何もおかしいことはない。それなのに、何が。また違和感。



「なんだ、これ」
「………ユーリ、さん?やっぱりどこか具合でも悪いんじゃ、」



息が苦しい。居心地が悪い。自分だけ取り残されたような、そんな浮遊感。違和感だけがすこしづつ積もっていってまた積もる。積もりに積もった違和感は頭の中をかき回しすだけで決してなくなってはくれない。溜まりに溜まった疑問は口からやけにすんなり言葉を紡いで。頭の中にだれかの声を聞いた。



(………ユーリ!)



昔にも聞いたことのあるような声。そいつが誰の声なのか、どのような表情をしていたのか。そんなこと何も分からない。それでも聞かなければいけないことがあった。いつまでも悩んでいるなんて俺らしくもないのだから………あれ、俺らしいって、俺ってどんな性格だったかーーー





「………なぁアスベル」
「?何ですか」






お前、昔から敬語だったか?




違和感は積もりに積もってそれから
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